FAQ一覧

▶ どのような感じの家になるのでしょうか?図面だけでは分かり難いのですが…

「どのような感じの家になるのですか?」
建築主から、このような質問を頂くことがあります。設計者は、作成した図面を口頭にて説明を行うわけですが素人の方にはなかなか理解できないことが多いようです。
マイホームの建設は多額の資金が必要です、一般的には住宅ローンを組んで長期の返済をされるのではないでしょうか?‥そのような大切な資金ですので依頼者(建築主)は真剣です。
その反面、数枚の図面で契約を結びマイホームを建設される方も居られますが、完成してから後悔はないのでしょうか?


□ 一般的な2DCADで作成した図面
建築業界はいまやCADで作成した図面が一般的になりましたが、以前はドラフターで鉛筆を使い作図をしていました‥いまでは遠い昔のように感じます。
下図は2DCAD(2次元キャド)で作成した平面図・立面図ですが、手書きの図面より綺麗に作成できます。しかし、レイアウトや動線・使い勝手は設計者の考えで変わります。

<1階平面図>


<2階平面図>


<西立面図>


<北立面図>


□ 完成予想図(3DCG建築パース)を無償にて提供します
弊社では、マイホームが完成してから後悔されないように完成予想着色パース(外観・内観・間取り図)などを3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)により必要に応じて作成して提供します。
着色ですので非常に分りやすいと思います、また色は簡単に変更できますのでご家族で検討して頂くには最適かと思います。

<1階間取り図> 1階の各部屋を上から観たらこのような感じになります。


<2階間取り図> 2階の各部屋を上から観たらこのような感じになります。


<1階食堂間取り図の拡大> 購入される家具などのレイアウトを検討して頂けます。

     (A案)          (B案)
<外観パース北> 北側から観た建物の外観です。


<外観パース西> 西側から観た建物の外観です。


<外観パース南> 南側から観た建物の外観です。


<外観パース東> 東側から観た建物の外観です。


<外観パース鳥瞰図> 空から観るとこのような感じになります。


<外観パース北> 夜の外観はこのような感じになります。


<内観パース玄関> ホールより玄関を観た感じです。


<内観パース食堂・居間> 家族の団欒の場となる食堂居間は、このような感じになります。


<内観パース台所> 対面キッチンです‥主婦には一番気になる所かも知れません。


<内観パース子供室> 子供室はこのような感じになります。


□ マイホームが完成してから後悔されないように!
以前は、「完成予想パース」を作成するのは手書きでしたので非常に手間がかかりましたが、CADが普及した現在では身近なものになり、ソフトを使いこなせれば誰でもが作成できる時代になりました。
マイホームの建設は6ヶ月もあれば完成します、出来上がってから「イメージが違った」と後悔されないように、設計の段階に「どのような感じの家になるのか」を理解された上で着工されても遅くはないのではないでしょうか?

<完成予想着色パースのメリット>
1. 立体的であり着色図面なので非常に分りやすい。
2. 外観が立体的になることで「どのような感じの家」になるのかが一目で分る。
3. 360度、どの角度からでも好きな部分を見られる。
4. 外壁の色を変えることで、どのような色にするか検討できる。
5. 各部屋が立体的になることで分りやすい。
6. 購入予定の家具などのレイアウトを検討できる。

□ ウォークスルー機能で見たい所を自由に
見たい所の外観・内観を自由に見ることができます。
完成した家の中を自由に歩いて雰囲気を感じたり、家の周りを歩いて外観を眺めたりすることができます。
ご希望があればパソコンのディスプレイ上で動画として観て頂けます。

2019年07月02日

▶ ハウスメーカー、地元の建設会社、近所の大工さん‥どこがいいの?

「○○ホーム、△△建設、近所の大工さん‥何処に依頼すれば良いのでしょう?」

昔は、個人の住宅などは近所の大工さんに頼むことが多かったのではないでしょうか?
現代では、私の在住する僻地にも○○ホーム、○○ハウスなど「ハウスメーカー」が進出してきました。
そして、ゼネコンと言われる建設会社も「住宅事業部」を設立して個人住宅に触手を延ばしています。
そのような状況で、マイホームを建てる方は多額の資金をつぎ込むのですから真剣です。
どこに依頼すれば大丈夫?‥少しでも私の回答が判断材料の指針になれば幸いです。

 ハウスメーカー
全国には約24社のハウスメーカーがあるようです。
エリアは全国展開、関東エリアのみ、関西エリアのみ‥など様々です。経営方式は、直営方式、フランチャイズ方式などがあるようです。フランチャイズとは、本部が一定地域内での独占販売権を与え、各種経営指導を行って事業の拡大をはかる方式です。○○ホームの名前の最後に会社名を付けています。

<長所>
 統一品質、統一価格により家を建てられるということがあげられます。また、資材の一括仕入れによる資材の低コストも実現しています。
 独自で開発した耐震性能など特許を持っているメーカーもあります。
 工事がパターン化しており難しい工事管理を要求されない。

<短所>
 代理店の技術力・責任能力などに差がある。
 テレビ、新聞広告など多額の宣伝費は消費者に跳ね返っている。
 基準となるモジュールが関東間で非常に狭い。

関東間 柱芯々で3640㎜            関西間 畳に合わせて柱間隔を決める
※ 8帖間だと関東間は30cmも狭くなります。

<モジュールについて>
基準となる寸法のことで、柱芯々1間の寸法が関東間1,820、関西間1,970です。
ハウスメーカーの基準モジュールは関東間が圧倒的に多いのです、それは人口密度が都市圏に集中しており需要が多いので関東間での部材生産になっています。都会の親戚宅に行ったりすると、田舎者の私は「息苦しさ」を覚えますが‥土地も物価も高い街では30㎝狭くても8帖間は8帖なんですねぇ。

<ショウルームについて>
ハウスメーカーのショウルームは非常に豪華な造りになっています‥聞く所によると1億円とか!?
ご夫婦で、または家族で観にいくと「このような家が建てられる」と錯覚を起こします。冷静に判断される方は良いのですが、営業マンと話しを進めていく間に断りにくい状況になってしまいます。
大抵の場合、受付で名前、住所、℡番号などを記入しますので‥以降は、営業マンが嫌がられない程度に尋ねてきます。


 

<安い?高い?>
一般的に、内装は天井も壁もビニールクロスが多く天井が低いなど建設会社・大工などが建てる住宅とは大きな差があります。
それは、多額の宣伝費、フランチャイズでの名義料金などでグレードを下げなければならないなどが考えられますが、低コストを謳い文句にしているメーカーには仕方のないことです。
建築費用が高額なのに内装のグレードが安物っぽいと感じたら高い買物になります。

<音が聞こえる?>
あるハウスメーカーで家を建てた方に聞いた話ですが。
1階に居ると2階の音が聞こえるそうで‥実際にご自宅を拝見して図面を観た所。

原因として
 階高が低く天井の懐が少なかった。
 構造材が細くて耐力不足ではないかと思われた。
※ 構造材は細いですねぇ、試験を行なって耐震基準をクリアーしていると思いますが少し不安になりました。

 地元の建設会社
一言で表現すれば「技術者集団」です。
一級建築士、二級建築士など有資格者の集団で、土木工事も行っている業者もあります。
大工を自社で雇用している建設会社、雇用せず物件を受注した時に外注する建設会社など形態は様々ですが、地域に根ざした会社ではないでしょうか?
女性の社会進出も顕著で‥建築の現場にも女性の姿が観られます、男性とは違い細かい配慮があり住宅建築の管理者に向いているかも知れませんね。


<長所>
 公共事業などの工事を受注して実績があり施工面など信頼できる。
 経験が豊富な職員(技術者)が現場管理を行うので安心できる。
 地域に根ざし信頼を第一に考えている。
 日進月歩である建築基準法など法令を熟知している。

<短所>
 統一価格、資材の一括仕入れなどは行わないので低コストでの施工はできない。
 ショウルームなどを持たない所が多く観て比較ができない。



 近所の大工さん
一言で表現すれば「職人」です‥当たり前かも?
一人で頑張っている大工さん、数人で集まり会社を立上げている大工さんなど様々です。
有資格としては、二級建築士、木造建築士、無資格などでしょうか?
手に技術を持っていますので、器用なのか、不器用なのかが生命線になります。謳い文句は「設計・施工」なんですが、設計図書は簡単な図面のみが多いようです。


<長所>
 材木の長所・短所を良く知っている。
 多額の宣伝は行わず間接経費が要らないのでその分安くできる。
 構造材などは太めの材料を使用する。

<短所>
 統一価格、資材の一括仕入れなどは行わないので低コストでの施工はできない。
 ショウルームなどを持たないので観て比較ができない。
 簡単な図面で施工をするので詳細が分からない。
 職人の手の早さ・遅さにより人件費に差が生じる。
 建築基準法など法令にうとい。

※どこがいいの?
ハウスメーカー、建設会社、大工‥何処がいいのでしょうか?
各業者の特徴を書きましたが一長一短があります、最終的に決断されるのは多額の投資をされる建築主です。
電気製品であれば、何処で買っても性能は同じですが、建築の場合は一つ一つが手造りですので、業者が変われば性能・品質も変わります。
安心できる住まいを望まれるなら、良し悪しを判断するには1対1では難しいと思います‥第3者の専門的なアドバイスが必要ではないでしょうか?

2018年05月02日

▶ マイホームの建築を考えていますが費用はどれくらい要るの?

「マイホームの建築を考えているが費用はどれくらい要るのだろう?」

家を建てる方が最初に持つ疑問点ではないでしょうか?
そして、今まで気にも留めなかった新聞のチラシに目が留まり‥○○ホームが坪単価35万円、○○ハウスが坪単価38万円など‥情報の収集が始まるのではないでしょうか?
そして、家族会議において「一度ショールームを見にいこう!」となり、身近な○○ハウスに行き、営業マンから説明を聞くことに‥ 実際に坪単価35万円で家が建つと思われますか?
建売住宅のように、建築主の要望などを排除した住宅であれば建つかも知れませんが、注文住宅であれば無理な単価だと思います!一生に一度?の買物です、騙されないように賢い買物をして頂きたいと思います。

1. 坪単価ってなに?
世間では坪単価が○○万円と言う表現をしますが「坪単価」とは何でしょう?
例えば、住宅の延べ床面積が60坪(198.35㎡)、建築費用が3,000万円だったとします。

(例)3,000万円 ÷ 60坪 = 50万円 ←坪単価


建築費用÷延べ床面積(坪)が坪単価になります、上記の計算では坪単価は50万円です。

2. 坪単価の違い
坪単価の表示方法は一律ではありません。
注意しなければならないのは、坪単価を算出する際に「施工面積」か「延べ床面積」のどちらを使用しているかという点です。
ハウスメーカー、建設会社、大工さんなど、表示方法には相違がありますので注意が必要です。
また、都道府県によって坪単価は大きな差がありますので、在住する地域の単価を知ることが必要です、他府県の単価を気にしても意味がありません。

 ハウスメーカーの坪単価表示
○○ホームなどは、坪単価を算出する際に「施工面積」で表示しています。
施工面積とは、延べ床・ポーチ・バルコニー・テラス・吹抜けなどを含めた面積ですので、上記の例で言えば60坪が68坪くらいになってしまいます。計算式の分母を大きくする訳ですから‥計算値(坪単価)は安くなります。
また、屋外の電気配線・給排水・下水道の接続・雨水排水工事などが別途費用になっていますので、坪単価を安く表示できるのです。
言い換えれば、安い坪単価表示の中身は「建物だけの価格」のことで、別途工事が有りすぐに入居して使える状態では無いと言えます。別途費用を積上げていくと‥さて、最終的に坪単価はいくらになるのでしょう?

 ※ 着色部分は「施工面積」を示す

 建設会社の坪単価表示
建設会社では、坪単価を算出する際に「延べ床面積」で表示しています。
「御社では坪単価いくら位で出来ますか?」と尋ねると‥「だいたい○○万円くらいですね」と回答があります‥そのときの面積表示は「延べ床面積」です。
延べ床面積とは、壁など区画の中心線で囲まれた水平投影面積で各階の床面積の合計をいいます‥ポーチ・バルコニー・テラス・吹抜けは含みません!

※ 着色部分は「延べ床面積」を示す

 坪単価での判断は危険です!
坪単価が安いからと言って必ずしも得な買物にはなりません!
「施工面積」と「延べ床面積」では違う坪単価表示金額になります。
例えば、坪単価が35万円‥安い!と思い、○○ホームで簡単な図面と見積書をもらうとします。
見積書には、あれが別途、これも別途と記載があります‥別途費用を積上げていき坪単価に換算すると50万円/坪になったなんてことも。坪単価が安い、高いなどで判断するのではなく、別途工事は一切なく総工事費用の安い業者に依頼するのが得な買物ではないでしょうか?
とは言え、比較することをしないで○○ホーム1社と商談を進めていますので「断りにくい」状態になります。



 都道府県による坪単価の違い
東京都の80万円以上から、地方の60万円未満など地域によって20万円以上の差が生じています。
その原因は、費用の大半を占める職人の人件費や会社の管理費の違いによるものです。
また、県民所得の低い県は相対的に坪単価も安く、物価・地価の安いですが、反対に県民所得が高い県は相対的に全てが高いようです。

都道府県別、フラット35融資住宅の各県別平均・坪単価
黄 色:坪単価60~65万円未満
ピンク:坪単価60~80万円未満
赤 色:坪単価80万円以上
その他:坪単価60万円未満



3. 坪単価は結果論
坪単価とは、一言で言えば結果論です。
例えば、マイホームが完成しました‥施工会社に3,000万円支払いました、その金額を坪で割ったら60万円/坪だったなどです。
洋室の壁にビニールクロスを貼るのと、天然の無垢板を張るのでは値段が全然違います。
または、和室に「床の間」を設ける、設けない、エアコンの金額を含む、含まないでは全然違ってきます。


     エクステリア費用

    カーポート&エアコン

4. 賢い買物とは?
同じ図面、同じ条件を提示して、A建設とBホームに見積りを依頼すれば、どちらが適切で安いかが分ります。
賢い主婦は、毎日のように新聞折り込みを見て「今日はあそこのスーパーは卵が安い」と、1円でも安い食料品を探します。
マイホームを建築される時も同じように比較をしたほうが良いと思いますが、される方は少ないのが現状です。
何故でしょう?
日本人は義理堅い人種?ですので「見積りだけ頼んでおいて断る」のが後ろめたい‥そのような感情があると思われます。
そこで、弊社のような設計事務所の出番になるのですが、第3者に委託することで金額・項目など、どの会社が安くて適切な金額なのか判断してもらえます。

   A建設      Bホーム

5. 安いのか、高いのか、分らない
見積書を見て、安いのか、高いのか、素人では分りません!
見積書の枚数は100枚を超えるほどになります、内容を見ても専門用語が多くて素人の方では分り難いと思います。
また、数量は間違っていないのか、単価は高くないのか、安いのか、適切なのか‥素人では分りません。

では、なぜ分らないのに数千万の契約をしてしまうのでしょう?
 テレビCMで著名な野球選手が宣伝している建設会社なので信頼できそう。
 親戚の家は、あの大工さんが建て太い柱を使っていたので信頼できそう。
 あそこの建設会社は住宅の建築を数多くしているので信頼できそう。
 営業マンがしつこく来て困るけど値引きしてくれると言うので‥

思いつくままに列記しましたが、共通点は「信頼できそう」ではないでしょうか?
テレビCMは確かに凄い効果があります‥しかし、多額の宣伝費は消費者に跳ね返っていますので少なからず安い買物ではありません。


<不幸な話し>
ある建築主の方から聞いた話ですが、母屋の増築を大工さんに依頼して‥簡単な図面と見積りをもらい着工した所、「それは別途です」「これも別途です」となり追加工事で金額が膨れ上がり、最後には信じられない程の金額になったとのこと。
最初の段階で、シッカリと見積り項目を確認していなかった建築主に落度があるようですが、別途工事の内容を説明しなかった大工さんに悪意を感じませんか。

6. 適切な金額とは?
建築費用は、グレードにより高くもor安くにもなります。
高い材料を使えば坪単価は高くなります‥安い材料を使えば坪単価は下がります。
予算がなければ、内部の壁・天井は全てビニールクロスに変更するのも一つの方法です。

建築主が求めるのは、質なのか量なのか?
質を求めれば、グレードが高くなり建築費用は高くなります。質よりも量を求めれば、グレードが低くなり建築費用は安くなります。予算がいくらあるのか?延べ面積はどの程度必要なのか?予算に合わせて、延べ面積・グレードを決めていけば良いのではないでしょうか?
坪単価は結果論ですが‥一般的には50万円~65万円ほどの費用は必要です。

2017年06月26日

▶ 和風住宅と洋風住宅では、どちらが安いのですか?

現代の住宅は和洋折衷になりましたが‥さて、どちらが安いのでしょうか?
和風住宅のイメージは‥畳、漆喰壁、襖、障子、床の間、引き戸などでしょうか?
洋風住宅のイメージは‥フローリング、サイディングボード、食堂テーブル、クロス、開き戸などでしょうか?
以前は、二間続きの和室があり畳の間で食卓を囲み食事をしていましたが、いまでは食堂のテーブルで椅子に腰掛けて‥と、生活様式が変わってきました。

【和風住宅とは】
辞典で調べると、「日本の伝統的な生活様式に順応する畳、障子、襖を用いた住まいで、構造は木構造とし、壁体は土塗の真壁造り、屋根は和風小屋組み、床の間、棚、書院、縁側などの和風固有の造作を施すことが多い」

<良いところ>
 畳が素足には心地よい。
 土壁には調湿効果がある。
 屋根瓦は重みがあり、また断熱効果がある。
 床の間、書院、縁側などは情緒がある。
 仕切りの襖を取り外せば2室を1室にできる。
 畳の間は用途によって、食堂、寝室、客間に転用できる。

<悪いところ>
 土壁など湿式工法はひび割れ・隙間などが生じやすい。
 土壁は下塗り、中塗り、上塗りなど工程が長く高い精度が要求される。
 真壁造は断熱性能が劣り冷暖房の効率が悪い。
 襖、障子などの建具では各部屋のプライバシーが保てない。
 食と寝の区別がない。


【洋風住宅とは】
辞典で調べると、「和風住宅の対語で外国から輸入された構造で、軸組を大壁造り、屋根を洋風小屋組み、壁を漆喰塗りor板張り、内部を椅子式に適する床仕上げにすること」

<良いところ>
 大壁造は断熱材を充填できるので冷暖房の効率が良い。
 サイディングボードなど乾式工法はひび割れなどが無い。
 大壁造により各部屋のプライバシーが保てる。
 食堂、寝室などの分離により衛生的である。
 気密性能が和風より優れている。

<悪いところ>
 外壁のコーキングが切れやすいので注意が必要である。
 気密性能が高いので常に適切な換気が必要である。
 開き戸などは車椅子には適さない。


【和洋折衷とは】
生活様式が変わり、和風住宅の良い所、洋風住宅の良い所を採用した住宅と言うことになりますが‥どちらかと言えば洋風に近いのではないでしょうか?
LD(リビング・食堂)様式のように、リビングと食堂を1室とし応接家具などを置いて居間or客間の用途を兼用するタイプが増えています。二間続きの和室や客間などは少なくなり、食堂のテーブルが客間兼用となり家の中心的な場所になっています。

<和風住宅は高い?>
和風住宅は、真壁造といい軸組み(柱・梁など)を隠さずに化粧として見せます。そして、柱と柱の間に小舞竹を組み土壁を塗って壁としますので、柱に節などがあると不細工になります。一般的に、高額な材料を使用し高い精度を要求されるので和風住宅は高い。

<高くなる要因>
 柱などは4面無節、3面無節‥など、高額な材料を使用するので材木費が高い。
 自然材・床の間(床柱・床框・床板など)など材料費が高い。
 真壁は施工に手間がかかるので人件費が高くなる。
 材木など加工する職人には高い精度が要求されるので人件費が高くなる。

<洋風住宅は安い?>
洋風住宅は、大壁造といい軸組み(柱・梁など)を壁材で隠します。
外壁はサイディングボードなどを張り、内壁はプラスターボード下地のうえにビニールクロスを貼るタイプが多くなりました。
一般的に、和風よりは安い材料を使用し高い精度を要求されないので洋風住宅は安い。

<安くなる要因>
 柱・梁などは壁材で隠すので節などのある安い材料を使用できる。
 大壁は施工が簡単で手間がかからないので人件費を安くできる。
 ビニールクロスは単価が安い。
 工期が和風住宅より短いので安くできる。

※ 「圧縮力」を受ける柱には節があっても問題はありませんが、「曲げ」を受ける梁材に節があると断面欠損になり強度が低下しますので注意が必要です。

<結論として>
和風住宅は洋風住宅より高い!
どの位の差額になるかは、グレード・仕様により変わりますが洋風住宅のほうが安いですね。

2015年06月30日

▶ 建築設計事務所って、どのような仕事をするの?

事務所の紹介ページで、簡単に業務内容をお知らせしていますが、日常会話のなかで「設計事務所ってどんな仕事をするのですか?」と質問を受けることがあります。
言葉のごとく、建築の設計が主たる業務ですが施工会社と勘違いされる方もおられ‥他にも付随する業務があります。
一般的な、木造2階建て個人住宅の場合を例にあげて説明をさせて頂きます。

(業務内容)
1. 企画業務
2. 測量業務
3. 地盤調査業務
4. 基本設計業務(建築・電気設備・機械設備)
5. 実施設計業務(建築・電気設備・機械設備)
6. 積算業務
7. 見積り業務
8. 工事監理業務
9. 各種申請業務
10. 耐震診断業務
11. その他
※ 3階建て住宅など階数・規模などにより構造計算が必要な場合を除きます。

1. 企画業務
建築主の希望される生活空間、配置、間取りなどをお聞きします。
家族構成、好みのタイプ、ご予算、返済計画、将来の増築予定など考慮して企画していきます。
しかし、ご希望通りの計画をしても、ご予算と合わないことも‥計画と予算は平行して考えていきます。
最終的には、ご希望の優先順位を決めて頂きます。
この時点では、専門家としてアドバイスをしながら平面・配置計画などの提案を行います。


2. 測量業務
敷地を測量して、敷地面積の求積、各ポイントの高さなどを測定します。
 平板測量:敷地を測量して面積を求積します、また方位も測定します。


 レベル測量:敷地の高さ、前面道路の高さ、隣地の高さなどを測量します。

. 地盤調査業務
現地の調査及びその周辺おおむね半径50mの周辺状況を調べます。
周辺状況を観察することで土地の過去の履歴や地形を推定します。道路や近隣建物に、亀裂や陥没などが見受けられたり、川や池などが存在する場合、軟弱地盤の可能性があります。建物を建てる予定位置の地盤を調査します。
一般的には、スウェーデン式サウンディング試験が安価で小規模建物に適する調査方法です‥専門業者に依頼します。
調査は、建物の両端2ヶ所ほどを地表面から深さ10mまでの試験を行ないますが、(財)住宅保証機構では建築物の4隅を義務付けています。


 


4. 基本設計業務(建築・電気設備・機械設備)
建築主のご希望を網羅した平面図・立面図などを作成し「提案図」として提示します。
提案図を持参して、設計主旨・使い勝手などを説明させて頂きますが、双方のイメージ等の相違などで変更が生じます。
提案図がA案からB案・C案・D案‥と変更を重ねて行きますと、ほぼ基本設計はまとまってきます。
この、基本設計の段階が非常に大切で、時間を掛けて協議を重ねることが必要です。
基本設計が終わる頃には、建築主の皆さんは「ボンヤリと頭に生活空間がイメージできるようになった」と言われます。




5. 実施設計業務(建築・電気設備・機械設備)
基本設計をもとに、建築・電気設備・機械設備の詳細な「設計図書」を作成します。
(建築図面)
1. 特記仕様書-1~4
2. 外部仕上表・設計概要
3. 内部仕上表
4. 敷地面積求積図・求積表
5. 延べ床面積表・建築面積表
6. 軸組計算表
7. 耐力壁の配置
8. 現況図
9. 配置図・附近見取図
10. 1・2階平面図
11. 屋根伏図
12. 断面図・立面図
13. 1・2階平面詳細図
14. 矩形図-1・2
15. 1・2階天井伏図
16. 展開図-1~4
17. 1・2階建具配置図
18. 建具リスト-1~3
19. 基礎伏図・詳細図
20. 1・2階床伏図
21. 小屋伏図
22. 厨房機器詳細図
23. UB詳細図
24. 部分詳細図
25. 屋外付帯配置図
26. 屋外付帯詳細図
(電気設備図面)
1. 特記仕様書
2. 凡例表・盤結線図
3. 引込み鋼管柱外観図・端子盤外観図
4. 照明器具姿図
5. 1・2階幹線・コンセント・弱電設備図
6. 1・2階電灯設備図
                     
(機械設備図面)
1. 特記仕様書
2. 給排水衛生設備配置図
3. 衛生設備機器・器具表・桝リスト
4. 1・2階給排水衛生設備平面詳細図
5. 1・2階換気設備機器表・換気計算表
6. 1・2階換気設備平面詳細図
7. 1・2階冷暖房設備平面詳細図

約40~50枚の図面を作成します。なぜ、こんなに図面が必要なのでしょう?

それは、工事費用の正確な算出には図面が必要なのです。
図面を見て数量を積算します‥数量×単価の集計が工事費用になりますので、図面がないと正確な費用の算出ができません!
例えば、日曜大工で「犬小屋」を造るとします‥簡単な図面を書いて床・壁・屋根材の大きさを決めて数量を出します、そして材料を購入して8,000円を支払いました‥これが工事費用になります。
建築主には、建築・電気・機械の図面を説明します。使い勝手や動線、コンセントの位置、エアコンの位置、給排水管の位置など‥全てを図面に網羅します。

現場で施工する各業種の職人さんは図面を見ながら仕事をしますので、細部に渡って図面が必要になります。
将来、増築・改造などの時に「この柱を取りたいけど大丈夫?」など、図面があれば構造材の寸法、電気配線の位置、給排水配管の位置などが一目瞭然ですので安心です。
余談ですが、増築・改造などの設計依頼を頂き、訪問して‥「お家の図面はありますか?」と尋ねますが、大工さんに直接依頼された住宅は図面の無いことが多く、現況図面の作成が必要になります。
また、図面が無いと構造材などの確認をするために天井裏に上がる必要が生じますが完璧な把握は難しいです。

6. 積算業務
設計図面より使用する材料等の数量を算出します。
例えば、コンクリート○○m3、鉄筋○○ton、材木○○m3、屋根瓦○○㎡、クロス○○㎡など‥
ただし、積算基準がありますのでルールを守らないと正確な数量は算出できません!
ルールブックとして、建設大臣営繕部監修の「建築数量積算基準」を遵守して積算業務を遂行します。
正確な数量を積算できれば、あとは単価を掛ければ工事費用が計上できます。

7. 見積り業務
積算業務で算出した数量に単価を掛けて工事費用を見積ります。
単価は「市場単価」を挿入しますので実質単価とは少し違いが生じます、見積書として一般的な経費を計上して集計のうえ建築主に提出します。
施工会社に設計図書を渡して見積りを依頼しますと少なからず金額に相違がでます。例えば、A建設3,000万円、B工務店3,200万円、C建築2,900万円など。
なぜ、金額が違うのでしょう?
理由として、経費の乗率が違う、積算数量の違い・項目計上のミスなどが考えられますが‥内状として、受注物件が少なく儲けが少なくても良いから仕事が欲しい状況であるなどがあります。

見積書の内訳は、建築主体工事+電気設備工事+機械設備工事+諸経費などです。
下記の科目内訳項目ごとに金額を算出します。
(見積りの内訳)
 <建築主体工事>
1. 仮設工事
2. 土 工事
3. 鉄筋工事
4. 型枠工事
5. コンクリート工事
6. 防水工事
7. 組積工事
8. 石 工事
9. タイル工事
10. 木 工事
11. 屋根・樋工事
12. 金属工事
13. 左官工事
14. 鋼製建具工事
15. 木製建具工事
16. 塗装工事
17. 内・外装工事
18. 雑工事
<電気設備工事>
1. 電灯コンセント工事
2. テレビ共聴設備工事
3. 電話空配管設備工事
4. インターホン設備工事
5. 換気扇設備工事
6. 照明器具設備工事
7. 引込み幹線設備工事
<機械設備工事>
1. 給水設備工事
2. 給湯設備工事
3. ガス設備工事orオール電化設備工事
4. 空調設備工事
5. 排水設備工事
6. 雨水設備工事
7. 衛生器具設備工事
<諸経費>
1. 共通仮設費
2. 運搬費
3. 現場経費
4. 一般管理費


8. 工事監理業務
工事が設計図書のとおりに施工されているか否かを確認して文書で建築主に報告します。
施工会社が決まり、契約締結後にいよいよ住宅の建築に着工します。
基礎工事から始まり各業種の職人が出入りします。現場では不具合な箇所や図面の通りに施工していない場合には監理者が是正指示を行います。それでも、業者が不適切な施工を行うなどした時は、建築主に報告のうえ業者の変更を行います。


設計者が監理者を兼ねることが一般的ではありますが‥監理内容は「重点監理」と言い、ポイントことに検査を行ないます。
誠意のある業者ですと「手抜き工事」は無いと思いますが、建築基準法などの知識がなくて「知らなかった」‥は、結果として手抜き工事になります。 特に、隠蔽部分は後からは分りませんのでシッカリとした検査が必要です。
いまは、建築基準法の厳格化で厳しく又複雑になってきましたので注意が必要です。

<工事監理検査項目>
1. 縄張り・遣り方検査
2. 設計GL・BM確認検査
3. 床付け検査
4. 基礎配筋検査
5. コンンクリート打設立会い検査
6. アンカーボルト・HD金物位置検査
7. 材木検査(含水率・寸法など)
8. 建て方・軸組検査
9. 防腐・防蟻処理検査
10. 外壁・屋根検査
11. 内装検査
12. 完了検査
13. 電気設備中間検査
14. 機械設備中間検査

※ 上記の検査を行ないます、業者には工程ごとに写真撮影をして頂き提出をしてもらいます。


9. 各種申請業務
建築確認申請、完了検査申請、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の申請、住宅性能評価申請などの代理申請を行います。
全てが代理申請になりますので、建築主より「委任状」を頂き業務を遂行します。
平成17年に明らかになった構造計算書偽装事件は、一級建築士が構造計算書を偽装し、多数のマンション等の耐震性に大きな問題を発生させ、多くの住民の安全と居住の安定に大きな支障を与え、国民の間に建築物の耐震性に対する不安と建築界への不信を広げました。
平成19年6月に建築基準法・建築士法の改正が行われ‥建築基準法の厳格化、建築士及び建築主に対して罰則が強化されました。
建築士は「襟を正す」必要がありますが、申請業務が厳しく複雑になっていますので確認期限の延長など‥すんなりと業務が進行しない状況です。


木造住宅の耐震診断を行い補強方法など提案します。
阪神・淡路大震災では、多くの建物が被害を受け6,434人もの尊い命が奪われました。
直下型地震でしたので、家屋・家具等の倒壊による人的被害が大きく、犠牲者のうち9割近くが圧死という状況でした。


昭和56年6月に建築基準法が改正され、耐震基準が強化されましたので改正前の基準で建てられた住宅は耐震性が不足しています。 国・兵庫県などは、地震から人命を守るために、耐震診断・改修などに補助金を出していますが、条件があり、また「喉もと過ぎれば‥」なのでしょうか、なかなか普及していないのが現状です。
流れとして、弊社のように耐震診断に関する研修を受けた建築士(簡易耐震診断員)を市町経由で派遣して住宅の安全度を確認します。
診断の結果を「耐震診断報告書」として総合評点を付けます。

1.5以上は「安全です」
1.0~1.5未満は「一応安全です」
0.7以上~1.0未満は「やや危険です」
0.7未満は「倒壊または大破壊の危険があります」

所見として、何処がどうなので補強が必要なのか?を記入します。
仮に、0.7未満と評点が付いても耐震改修は義務ではありません。費用が高額(120万~200万)ですので改修など補強工事が出来ないのが現実のようです。
国は、2008年度から補助対象となる住宅の条件を撤廃するとともに、現行の補助率も上積みするようですが‥地方自治体の負担も増えるようですのでどうなりますか?

11. その他
マイホームの建築とは、人生のなかで大きな買物ではないでしょうか?
大多数の方が一生に一度の買物ではないでしょうか?
ローンを組み、長期の返済を行いますので建築主の皆さんは真剣です。設計者として、お手伝いできる喜びと責任の重さを常に感じています。建築主とは、企画から竣工まで約10ヶ月前後のお付合いになります。時には、食事をご一緒してお酒を酌み交わしながら会話を交えることもあります。

№1~10の業務以外に下記のような依頼を受けます。

 見積書の査定
施工会社から提出された見積書を査定します。
項目が抜けていないか?金額は高いのか、安いのか?‥などです。
A建設、B工務店、C建築など会社によって見積り金額に差がでますのでどの業者が適切な金額なのか査定を行います。
できれば、2~3社へ見積りの依頼をされることをお勧めします。

 地鎮祭への同席
地鎮祭とは地主神を鎮めるとともに家の繁栄と工事の無事を祈る儀式のことをいいます。


 仕上げ材の決定(床材・壁材・天井など)
床のフローリング、壁のビニールクロス、天井材など‥種類が色々ありますので迷ってしまいます。
悩まれた結果、設計者に選択決定を依頼されることがあります。


 色などの決定
特に、外壁の色はなかなか決まりません‥色の好みは人によって様々です。色サンプルを作成して提示しますので、じっくりと検討して頂けます。


アドバイスとして、小さい色サンプルは濃い色に見えますので、大きな外壁面に塗るとサンプルより薄くなって見えます。
また、屋根・外壁などは酸性雨や太陽の直射日光にさらされますので、2~3年も経つと色あせてきますので少し濃い目の色をお勧めします。
しかし、永久的な塗装などは有りませんので10年周期でのリフォームは必要ですね。


2016年07月07日