▶ せっかく建てる家です「住宅性能表示制度」で安心できる住まいを!
品確法による住宅性能表示制度
住宅性能表示制度とは、平成12年4月から施行された新しい法律で「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「品確法」という)に基づく制度です。品確法は「住宅性能表示制度」を含む以下の3本柱で構成されています。
(1)施行日以降に売買・請負契約された、すべての新築住宅の基本構造部分などについては10年間の瑕疵担保責任期間を義務化すること。
(2)住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること。
(3)トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること。
※平成14年には既存住宅を対象とした性能表示制度が施行されました。
(1)10年間の瑕疵担保責任の義務
■消費者を保護する観点から
住宅は高価な買い物であり大切な財産です。万が一欠陥があった場合には消費者は多大な被害を受けることになります。
これまでの請負契約では1・2年の瑕疵担保期間で契約書を交わすケースが多かったことと思いますが、品確法では10年間の瑕疵担保責任が義務づけられました。
■10年未満の契約は無効です
新築住宅の基本部分に関して、契約時にどのような特約があっても建設会社に10年間の瑕疵担保責任が発生します。
仮に契約書で1年と定めてあっても、この取り決めは無効になります。また建築費の値引きなどを条件に期間を短縮するような交換条件を提示された場合であっても10年間は適用になります。
■10年保証の基本部分とは
対象となる部分は「構造耐力上主要な部分」(基礎、柱、床など)「雨水の侵入を防止する部分」(屋根、外壁、サッシなど)とされており、全ての部分ではありません。クロス等のめくれや外壁のヘアークラックなどは対象外になります。
■私の体験ですが‥
大阪在住の時代に某住宅の診断依頼を受け、スコップ・ハシゴ・懐中電灯などを車に積込んで行きました。
天井裏を照らして覗くと非常に細い構造材で施工も悪く、今度は外にでて基礎の形状を見るためスコップで‥本来は逆T型の基礎がI型で、結論として「手抜き工事」でした。
今でも、悪質な業者だと隠蔽部分などは手抜きが行なわれている可能性があります。また素人では分らないのが現実ではないかと思います、信頼できる業者に依頼しましょう。
■建設会社では‥
10年後に基本構造部分に欠陥(瑕疵)が見つかったら大変です。
仮に、基礎に大きなクラックなどが発生して欠陥(瑕疵)と判断されたらどうでしょう‥建物を持ち上げて基礎工事をやり直す必要が生じるかも知れません。
そこで、建設会社は「住宅性能保証制度」に登録し保険料を支払うことで、長期・短期の保証に備えるわけです。
登録する「住宅保証機構」には独自の設計施工基準を設けていて、現場審査などもありますので建設会社も機構の仕様にそって工事を進めていきます。
(2)住宅性能表示制度とは? ※任意
■性能を比較できる
自動車やパソコンなどを購入するときに、カタログなどで性能を比較して決定されることと思いますが、住宅には今まで性能を比較する制度はなく‥テレビで宣伝してるハウスメーカーなどの謳い文句を、または大きい建設会社だから大丈夫だろう?でしか計るモノサシしかありませんでした。
しかし、品確法の住宅性能表示制度で、購入する住宅の性能レベルが表示されA社orB社の住宅が希望にあうかどうか選べるようになりました。
■建築主の希望するレベルで建てられる
マイホームを建てるときに、希望するレベルを指定して住宅を建てることができます。
例えば、この地域は地盤が悪くて地震が心配!夏涼しく、冬暖かくて省エネルギー住宅がいい!‥など希望するレベルで住宅を建築できます。
■住宅性能表示制度のメリット
1.住宅の性能を設計・施工段階で、第三社がチェックするので安心。
2.契約段階で希望する性能が書面で明確になり住宅の引渡しが約束されます。
3.万が一、トラブルが発生しても迅速に解決を図る紛争処理機関を利用できます。
4.新築時の性能が分るので、将来の中古住宅として売買するときもスムーズ。
■自分のニーズと予算を考えて‥
住宅性能レベルを、すべて最高ランクに要求することは合理的とは言えません。
一方を良くすると別の項目の性能が下がるなど、反対の結果になるものもあります。ライフスタイル、地域の気候・風土などを考慮して各性能を決めるべきでしょう。
性能レベルを高くすると比例して建築コストも高くなります。建築に限らず、良いものはそれなりに高くなりますので予算も考慮して決めるべきでしょう。
(3)トラブルを解決する指定住宅紛争処理機関
■裁判によらず紛争を円滑・迅速に処理
建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請することができます。裁判によらず住宅の紛争を処理しますので、迅速に処理されます。紛争処理の手数料は1件あたり1万円です。
■トラブルはあります
電化製品を購入するのであれば、見て、触って、値段を見て納得して支払いを済ますわけですが‥住宅の場合は、まだ見えない物に高額の契約を結ぶことになります。立体的になると、素人でも分りますので‥トラブルになるケースは多々あります。
同じ地域の大工さんだからと言っても、万が一のトラブルに備えたほうがいいかも知れませんね。
住宅性能表示の項目とは?
性能項目と内容(一戸建ての住宅の場合)
構造の安定 | 地震や風等の力が加わった時の建物全体の強さ |
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火災時の安全 | 火災が発生した場合の避難のしやすさや建物の燃えにくさ |
劣化の軽減 | 建物の劣化(木材の腐食等)を防止、軽減するための対策 |
維持管理への配慮 | 給排水管とガス管の日常における維持管理のしやすさ |
温熱環境 | 暖冷房時の省エネルギーの程度 |
空気環境 | 内装材のホルムアルデヒド放散量の少なさや換気の方法 |
光・視環境 | 開口部の面積の大きさや位置 |
音環境 | 居室の外壁開口部に使用されるサッシの遮音性能 |
高齢者等への配慮 | 加齢等に伴う身体機能が低下した時の移動のしやすさや介助のしやすさ |
防犯 | 開口部の侵入防止対策 |
※ 性能項目のなかに等級がありレベルを表します 例:等級3、等級2、等級1
制度の流れ
■設計段階
各性能項目のなかで、希望する等級レベルを選択して設計図書を作成します。
指定住宅性能評価機関に設計図書を提出して性能評価を受け、標章付きの「設計住宅性能評価書」の交付を受けます。
■見積り、契約
建築主は、作成した設計図書により建設会社に建築費の見積りを依頼します。予算などがOKなら契約に進みます。
契約書に「評価書」を添付した場合は評価書にかかれた性能のある住宅を建築することを契約したものとみなされます。ただし、契約書の上で項目を排除することはできます。
■工事段階
工事段階で3回(基礎工事時・棟上げ時・内装工事実施前)と工事完成時の計4回、評価機関の現場審査を受け、合格であれば標章付きの「建設住宅性能評価書」の交付を受けます。
■指定住宅性能評価機関とは
国土交通大臣に評価機関の申請をして、厳格な資格審査を経て指定を受けた第三者の民間機関です。
評価業務は建築士の資格を持った者が講習を受け「評価員」資格を取得した者が行ないます。