▶ 改正建築物省エネ法により、これからの住宅は「省エネ住宅」に移行します(2021年4月から施行)
▼なぜ、4月から省エネ住宅になるの?
近年の、異常気象や地球温暖化などへの対策として、国交省は「パリ協定」(2016年11月発効)を踏まえ温室効果ガス排出量の削減目標の達成等に向け、住宅・建築物の省エネルギー対策強化を行うために省エネ法を改正しました。
このため、住宅・建築物分野の削減率を40%に設定し全国の建築業者に周知しており2021年4月より全面施行になります。
▼ 「省エネ住宅」とはどのような住宅なのか?
外皮基準と一次エネルギー消費量基準の二つが有ります。
①外皮基準とは、屋根や外壁などの断熱性能に関する基準のこと。
②一次エネルギー消費量基準とは、住宅内で消費されるエネルギー量に関する基準のこと。
簡単に言うと、建物全体を断熱材で囲うことで高断熱・高気密として、また高効率な設備(エアコン・LED照明・給湯機など)を設置してエネルギーの消費量を抑えることで、年間の光熱費を下げるなど経済的でかつ夏涼しく冬暖かい住宅にすることでCO2排出量の削減に繋がり、地球温暖化防止に寄与する‥それが省エネ住宅です。
<高断熱・高気密な家>
<高効率な設備を設置した家>
▼ 2021年4月1日以降に依頼した住宅は設計士より「省エネ基準」の説明があります
設計の委託を受けた建築士は建築主(施主)に対して、省エネ基準への適否について評価を行ったうえで、その結果を説明する必要があります(説明義務制度)
建築士は、建築主のご要望(規模や予算など)を踏まえ
1、省エネ基準(外皮基準、一次エネルギー消費量基準)を明記した設計図書を作成します。
2、作成した設計図書により計算をおこない適否を確認します。
3、省エネ基準に適合、適合しない場合の省エネ性能確保のため必要となる変更内容を説明します。
<説明義務制度とは>
これからマイホームを計画している建築主は「説明義務制度」など知りませんし
高断熱・高気密で高効率な設備の住宅‥と聞いて、高額にならないの?予算もあるし‥と、なることと思います。
国交省の考えとして、一般的に建築主は省エネに関する知識を十分に持っているとは限らず、専門的な知見を有する建築士から具体的な説明を聞いて省エネに対する意識が高まることを期待しています。
▼ 省エネ基準を満たしていないとマイホームは建築できないの?
必ずしも省エネ基準を満たしている必要はなく、希望される施工方法で建築は可能です(強制ではない)
<省エネに対する意識調査>
調査結果では、省エネに対して90%の方が検討したいと回答しています。
省エネ住宅は、年間の光熱費を下げるなど経済的でかつ健康的(夏涼しく冬暖かいなど)な空間になるため、これからマイホームを計画する建築主には非常に興味深い話になることと思います。
<説明を聞いて省エネ基準に適合させる場合>
建築主より省エネ住宅の依頼があった場合、建築士は「説明書面」を作成して15年間保存する必要があります。
これらの書面は、都道府県等による建築士事務所への立入検査の際に検査の対象となり、保存されていない場合には建築士法に基づく処分の対象となります。
また、建築確認申請と連動して適合判定通知書を提出しなければならず、不備があれば着工できません。
<評価・説明は不要とした場合>
建築主が評価・説明は不要(省エネ住宅にしない)であると意思表示をした場合は、建築主は「意思表示書面」を作成し建築士に提出する必要があり、建築士は書面を15年間保存する必要があります。
▼ 省エネ住宅のメリットとは
1⃣ 年間の光熱費が減額に!
国交省では、年間12万円ほどの光熱費を下げることができるとシミュレーションしていますが
今ではあまり見られない外壁を土壁とした和風住宅などと比較すると、もっと光熱費を下げることは可能と思います。
2⃣ 温度差のない快適な住空間に!
昔の和風住宅などは、冬期の朝目覚めると息が白いなど外気と変わらないほどの室温の住宅もありますが
省エネ住宅は、高断熱・高気密ですので夏涼しく冬暖かい住環境になり快適な生活になることと思います。
3⃣ 家族の健康を守る家に!
寒い住宅は健康を害します。
また、急激な温度差や結露によるカビなどは健康を害します、国交省では住宅の室内環境性能が優れ快適であれば居住者の各種疾病割合が改善されるとの研究結果を報告しています。
ただし、適度な換気を行わないと室内の空気は汚れ、カビなどの原因となりますので‥換気or空気清浄機などが必要です。
4⃣ ヒートショックから家族を守る!
▼ 省エネ住宅のデメリットとは
1⃣ 省エネ性能の計算等に費用が必要となること。
2⃣ 省エネ性能向上のための工事等に係る費用や工期が必要になること。
3⃣ 省エネ性能を維持するために建物の完成後も適切なメンテナンスやそのための費用が必要となること。
※省エネ住宅を希望した場合は、費用(計算、工事費、メンテナンス)が一般的な住宅よりも高額になります。
国交省では、省エネ住宅・省エネリフォームを対象とする支援事業として補助を行っており活用されることを推奨します。
▼ 気候風土適応住宅の省エネ基準
伝統的構法を採用している住宅は省エネ基準が一部合理化となります。
いまでは観ることが少なくなりましたが、壁を竹で編み土壁を塗った純和風住宅は省エネ基準を採用しても断熱化が困難で、室内から外へ暖気・冷気が逃げて行きますので下記のように除外となります。
▼ 国交省作成の漫画
国交省が作成した漫画「ご注文は省エネ住宅ですか?」20頁を参照ください。
ビデオでの視聴はこちらを御覧ください「説明義務編」