▶ 住宅内で圧倒的に多い階段での事故‥では、どのような階段が安全なの?

階段は事故の多発地帯、住宅の中でも危険な部分!
平成17年の人口動態統計によると階段からの転落による死亡事故は485人となっており、高齢になるほど死亡率が高くなっています。マイホームを建てるとき、予算の問題、敷地の有効利用などで2階建てで計画されるのが一般的だと思います。

■建築基準法では
住宅の階段は踏面≧15cmけあげ≦23cmと規定してあります。この最低限の規定で階段を造ると勾配は約56度、まるで梯子のような階段になり非常に危険です。

■理想としては
30度~35度程度が最も昇りやすいとされていますが一般的に造られる階段は45度位と思われます。手摺りは建築基準法で設置が義務付けられていますので少なくとも片側には手摺りが必要です。






急勾配の階段は非常に危険です





折曲がり階段で中間に踊場を設けるのがベスト
形状としては直階段、回り階段、直&回りの組合せ階段、折曲がり階段などがあります。

■折曲がり階段では
万が一足を滑らせ転落した場合には踊場で止まるために被害が少ないことが予想されます。

■直&回りの組合せ階段では
回り部分で踏み板の出幅が左右で違いますので足を踏み外しやすく事故が起きやすい階段です。

■建築基準法での測定方法は
踏面≧15cmは狭いほうから30㎝の位置で踏面寸法を測定しますので、その位置で15㎝以上あればOKになります。しかし、大人の足でははみ出しますので不安定な状態での昇降になり危険です。

直階段○  直&回り下部△  直&回り上部×


 回り階段×        折曲がり階段◎


手摺りをつける
階段の安全対策として手摺りの設置は基本です。
階段の昇降でヒヤッとした経験はありませんか?例えば、つまずいたりした時に反射的に何かを掴もうとしますが何もないと転落して怪我に至ることに。その時に手摺りがあると命拾い?をするかも知れません。

■できれば全長に、両側に
手摺りを階段全長にわたって、両側に付けるのが理想ですが‥予算などの関係もありますが片側には必ず付けましょう。高さは80cm~85cmが適当です。子供用に一段下にもう1本手摺りが設けられればさらに安心です。




 
 

手摺りを付けましょう




できるだけゆるやかな勾配に
階段の昇降には労働負荷がかかり、急勾配な階段ほど負荷が大きく危険になります。特に高齢になると階段の昇降はシンドイものです。

■住宅性能表示では
踏面=22cmけあげ≦21cm 踏面と蹴上の関係による計算式の場合(55cm≦けあげ×2+踏面≦65cm)

■兵庫県福祉のまちづくり条例では
踏面24cm~26cm けあげ15.5cm~19.5cm 踏面と蹴上の関係による計算式の場合(55cm≦けあげ×2+踏面≦65cm)

■住宅金融公庫の高規格住宅では
踏面≧21cmけあげ≦18cm 踏面と蹴上の関係による計算式の場合(55cm≦けあげ×2+踏面≦65cm)




ゆるやかな勾配とは?
 踏 面≧21cm
 けあげ≦18cm(約40度)



幅の広い階段に!
建築基準法では、有効幅75cm以上でOKとなっていますが階段も通路と同じで昇降者がすれ違います。
実際には、どちらかの者が横になって相手を通行させないと前に進めません、基準法では人間の肩幅60cmを基準に考えていますので支障なく通行するには最低でも120cm必要になります。

■有効幅98cmでは
K邸の階段では有効幅98cmにて設計しましたが、京間で16.5㎝広いだけなのに非常に広く感じられる階段になりました。

■将来のために
お年寄りの介護は1階でできれば良いのですが2階での介護になると大変ですし、季節の変り目には大きな荷物のもって上がり下りとなると重労働になります。
後で階段を広くすると言うのは無理が生じます、計画段階からゆとりのある階段にされてはどうですか?





幅は広いほうが‥





足元灯で明るく!
階段室に付ける照明は何処が一番良いのでしょうか?窓があれば昼間は明るいでしょうが、日が沈むと暗くなります。壁or天井の照明は必要です。

■足元灯(フットライト)をつけて明るく
階段での昇降時に目線は足先を見ています、壁あるいは天井に照明が付いていてもいいのですが場所によっては自分の影で足元が見えにくくなります。できれば2~3段置きに足元灯をつけて明るくしましょう。

■足元灯はセンサ付き常夜灯で安心
階段の昇降時に、少々暗くても電気代がもったいないとか、薄暗いけど見えるからと照明を点けないことありませんか?危ないかも‥センサ付きの常夜灯だと、暗くなると点灯、明るくなると消灯、人が通ると感知して点灯しますので安心です。消費電力も少なく経済的な照明です。

     足元を明るく

2008年04月08日